ボードゲーム・エントランス

ボードゲームやカードゲームを中心としたアナログゲームを紹介しています。なお、2016年1月28日以前の記事は、株式会社インプレスが運営していた“ゆるこいぶろぐ”に掲載していた記事を、許諾を得て転載したものです。

手札を交換して合計が少なくなるようにするカードゲーム『ゼロ』

 今回紹介するのはカードゲーム『ゼロ』。場の状況を読みながら早く手堅くまとめるか、それとも達成するとに見返りが大きい"ゼロ"を目指すかの駆け引きが熱い作品で、3人から5人で遊べます。

 

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 プレイヤーは手札と場のカードを交換していき、手札の数の合計がなるべく少なくなることを目指します。ラウンド終了時の手札の数の合計が得点になってしまい、ゲーム終了時にもっとも得点を稼がなかったプレイヤーの勝利です。

 

 使用するのは1から8の数字が書かれたカードが7種類の計56枚。カードをよく混ぜてプレイヤーに9枚ずつ配ったあと、場に5枚のカードを表向きに並べたら準備完了です。

 

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配らなかったカードは、そのラウンドでは使用しない

 

 プレイヤーが手番でできることは2種類のアクションのうちから1つだけ。手札と場のカードを1枚交換するか、パスをするかです。カードを交換する場合は、場のカードのうち欲しいものを1枚選んで手札に加える代わりに、手札から1枚のカードを選んで場に並べます。

 

 手札を交換する必要がなくなった場合は、パスができます。そして、パスの回数が参加者全員あわせて2回になると、そのラウンドは終了に向かいます。誰かが2回目のパスをしたら、残りのプレイヤーはあと1回ずつ手番を行い、得点計算となります。

 

 ポイントは、得点計算は単にカードの数字の合計というわけではないことです。まず、同じ数字のカードならば、何枚あっても1回しか数えません。さらに、同じ数字や同じ色のカードを5枚以上集めることができたら、その数や色のカードはゼロとして数えるのです。

 

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この状態で得点計算になった場合、2と4のカードは2枚ずつあるがそれぞれ1回ずつしか数えないので計6点、8のカードは5枚以上あるのでゼロになる

 

 加えて、手札を同じ数字5枚かつ同色5枚の組み合わせにできたら、その瞬間に"ゼロ"と宣言してそのラウンドをいきなり終わらせることができるのです。

 

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ゼロを宣言する場合は、1枚のカードは数字のセットと同色のセットの両方に数える。得点は当然ゼロ

 

 ゲームは、参加者の数だけラウンドを行ったら終了で、最終的にもっとも得点を稼がなかったプレイヤーが勝利します。

 

 ポイントは、カードには数字と色という2つの属性があることです。ですので、あるプレイヤーはそのカードの数字に注目して必要とし、別のプレイヤーは色に注目して手放す予定はない、ということもよくあります。その結果、たとえば数字のみに注目してカードを揃えていると、ある数字は自分しか集めていないと安心していたら予想外のプレイヤーに取られてしまった、ということになり頭を抱えるわけです。

 

 また、それぞれのラウンドではすべてのカードが使われるわけではないことも重要です。同じ数字や色のカードを5枚以上集められればゼロになりますので狙いたいところですが、そもそも場札の5枚と各プレイヤーの初期手札に、そのカードが5枚ない可能性があるわけです。

 

 問題は、欲しいカードが場に出てこないのはそもそもカードがないだけなのか、それとも誰かの手札に眠っていて展開によっては場に出てくるのか、という区別をつけるのが難しいところです。ですので、場の流れを見ながら、もう少し粘るかさっさと見切りをつけるかという判断に頭を悩ますのが楽しいです。

 

 そしてこの読み合いをさらに面白くするのが、手札の数字をすべてゼロにする"ゼロ"の存在です。決まればそのラウンドの得点をゼロにできるだけでなく、達成した瞬間にそのラウンドは終わります。すると、ほかのプレイヤーの手札が揃いきっていない可能性が高いので、大きなダメージを与えることができるというわけです。

 

 といいましても、限られたカードを組み合わせて"ゼロ"にするのはなかなか難しいですし、"ゼロ"を狙って達成できないと手札に大きい数が残ってしまいます。ですので、こちらもどこまで粘るか、はたまたさっさと見切りをつけるかが悩ましいわけです。

 

 本ゲームは、手番でやることは簡単ですし、ゲームの目標もわかりやすい上に、駆け引きと意外性に富んだ静かで熱いカードの取り合いが楽しめる作品です。運の要素がそれなりのウエイトを占めていますので、ベテランたちで遊ぶのはもちろんのこと、初心者とベテランが一緒に遊ぶ場合にもオススメです。

 

●URL

ゼロ 日本語版(日本語版発売元テンデイズゲームズのページ)

http://shop.tendays.jp/92_942.html

 

(橋本 崇史)