カードゲーム『アニマル フィールド』:動物のセットを作って動物園を運営
"ゲームマーケット公認レポーター"のレポート1回目として紹介するのは、カードゲーム『アニマル フィールド』。購入した動物を展示して資金を稼ぎながら動物園を運営する中量級の作品で、2人から4人で遊べます。今回は3人で遊び、各メンバーの評価は5点満点で3点が3人でした。
共通の場から動物や施設などを購入して、自分の動物園をにぎやかにしていきます。購入した動物などを使用して、展示というアクションを行うことで資金を獲得し、その資金で別の動物などを購入します。動物や施設を獲得することで得点が得られ、ゲーム終了時にもっとも得点を稼いだプレイヤーの勝利です。
プレイヤーが手番でできることは、カードを獲得する、獲得済みのカードを展示する、パスをする、という3種類のアクションから1つだけ。
獲得できるカードは動物カード、施設カード、アクションカードの3種類で、基本的にはカードのコスト分だけ手持ちの資金を支払って購入します。
本ゲームのおもしろいところは、動物の入手方法が購入だけでなく、得をする形で交換できることです。自分が獲得済みの動物と共通の場にある動物を交換できるのですが、自分が交換に出す動物は1つコストが高いものとして扱います。つまり、一つ上のコストの動物とは無償で交換できますし、同ランクの動物と交換する場合は資金を1もらえるのです。
本ゲームで資金を手に入れる手段は大きく分けて、動物の展示とパスの2つになります。前者はそもそも動物がいないと展示できませんし、後者は資金が得られるとはいえ手損になります。したがって、購入した安い動物を交換して価値を高めるのが有力な手法の一つとなります。
といっても交換だけではうまくいかない場合もあります。手に入れた動物を展示する際、動物カードに描かれているアイコンが3種類以上だと、より多くの資金を獲得できるのですが、交換できる動物は同じアイコンのもの同士に限られているからです。つまり、交換することで動物単品の価値は高められますが、当座の手持ち資金はあまり増やせないのです。
そしてこれらの行動をサポートするのがアクションカードです。アクションカードは、たとえば高コストの動物を安く買えたり、低コストの動物を購入した後に資金を得られたり、動物を交換した際に資金を得られるなどの効果を備えています。
このアクションカードの取り扱いは少し特殊で、手に入れたカードは動物などを展示した際に共通の場へもどってしまうのです。つまり一時的に借りるという形になります。
これらを組み合わせて動物園を大きくしていくのですが、これだけですとただ漫然と動物を買っていくだけになってしまいます。ですが本ゲームの場合、高得点を目指すという最終的な目標以外の目標をいくつか用意することで、その問題を解決しています。
用意されているのは、特定の行動を早く達成すると獲得でき得点となるボーナスカードや、最終的に獲得したカードの内容によって高得点が期待できる施設カード。これらのおかげでゲーム中盤や終盤にめざすべき目標が設定されますので、遊びやすくなっているのです。
本ゲームは、手堅くまとまっている作品です。手堅い、というのはバランスなどがとれていて大外れしないということなのですが、同時に、これといった特徴がないともいえます。カードのセットを揃えて得点を稼いでいくという作品を遊んだことのない人ならば、どういう感じのものかという感覚をつかむにはよいかもしれません。ただゲーム慣れしている人にとっては、物足りなく感じる可能性があります。
筆者が遊んでみて感じたのは、手番の流れを記したサマリーカードがほしいということです。1回の手番でできることが複数ありますので、何ができるかが把握しづらく、慣れるまではルールを再確認することがありました。
また筆者が遊んだ際は、パスをすると資金を1獲得するというルールを見落としてしまいました。パスでの資金調達は重要なはずですので、ルールブック上でもう少し目立つように表記してもよいかもしれません。
ルール上の記載については、初めて遊ぶ場合向けのカードセットが、ルールブックの最後に記載されているのも気になりました。こういう説明は序盤の準備の欄にあると、そのセットの存在を知った時点ですでに初期配置済みになっていた、ということを防げるでしょう。
さらに細かいことですが、動物カード、施設カードといった各カードの裏側を異なる色にできると、ゲームの準備や再プレイの際にカードが混ざってしまう危険を減らせてうれしいです。これに関しては制作コストに関係してくるはずですので、悩ましいところですが。
□関連リンク
アニマル フィールド | Hammer Works |『ゲームマーケット』公式サイト
http://gamemarket.jp/game/アニマル-フィールド
(橋本 崇史)