不要なカードはタダであげてしまえ!カードゲーム『ボーナンザ』
今回ご紹介するのはカードゲーム『ボーナンザ』。3人から5人で一時間弱じっくり遊べる作品です。ゲームの目的は、畑で豆を育てて高値で売却すること。最終的に最も稼いだプレイヤーの勝利となります。
ゲームは、プレイヤーそれぞれ5枚のカードと、豆を植える畑を2つ持って始まります。カードは豆を表しており、それぞれ、豆の名前とその種類のカードが全部で何枚あるかを意味する数字のほかに、同じ種類を何枚集めるといくらで売却できるかが記されています。
たとえば"BLACK-EYED BEAN"という豆の場合、"10"と書かれていますので全部で10枚あることが分かります。またカードの下部に、2枚集めると1コイン、4枚集めると2コイン、5枚集めると3コインで売却できると書かれているという具合です。つまり、なるべく同じ種類の豆を多く集めた後に売却すると高く売れる仕組みです。
ゲームの手順は、自分の手番になったらまず手札の豆カードを1枚もしくは2枚自分の畑に植えるのですが、その際注意しなければならない重要な点が1つあります。それは、手札の並び順は一切変更してはいけないということです。つまり、カードは最初に配られた順番通りに使っていかなければなりません。初回の手番の場合、まず一番初めに配られたカードを自分の畑に植えます。
それならカードが配られた順番でプレイしていくだけでつまらないのでは、と思うかもしれませんが、これだけではおわりません。カードを植えたあとに、今度は山札からカードを2枚めくって表にして並べます。このカードと手札のカードをタネにして、ほかのプレイヤーと交換の交渉ができるのです。つまり、ここで要らない豆のカードと必要な豆のカードを交換するなどして、自分の畑に植える豆の種類を整えていくわけです。
なお、ここでの交換条件は自由で、必ずしも1:1である必要はありませんので、要らない豆のカードをタダであげてしまうこともアリになります。
いくら要らないカードとはいえタダであげるのはちょっと、と思われるかもしれませんが、これには理由があります。ここで表になった2枚のカードは、ほかに誰も引き取り手がいない場合は必ず自分の畑に植えなければならないのです。
たとえば、2つの畑の片方に豆が1種類植わっているとしましょう。そこに同じ種類の豆カードがめくられた場合は、同じ畑に重ねて植えて育てられます。しかし、別の2種類の豆カードがめくられて残ってしまったらどうなるかといいますと、1種類は空いている畑に植えられますが、もう1種類はすでに植えられている豆を強制的に売却したあとに、植えることになります。1つの畑には1種類の豆しか植えられないのです。
その上、本作は手札などを捨てることはできませんので、要らないカードを誰かに引き取ってもらえるかは非常に重要なことなのです。といいましても、状況によってはタダでも引き取り手のないカードが場にでることもあります。その場合は渋々自分の畑に植えるわけですが、畑はコインを払えばいつでも3つ目を持てますので、このタイミングで増やして乗り切るという手法もあります。
また、交渉の際に手札のカードもタネに使えるということも重要です。自分の手番が回ってくるたびに必ず1枚目の手札を畑に植えなければなりませんので、畑に植えたくない種類のカードは積極的に放出していかないと、何時までたっても自分の畑の豆が育っていかないことになります。とはいえ、要らないカードと引換えに必要なカードを入手できれば有利になりますので、抜け目なく狙っていきましょう。なお交渉で入手したカードは、手札に加わえずに、交渉のあと各自の畑に植えます。
その後、手番のプレイヤーは山札からカードを1枚ずつ合計3枚引いて、順番を変えないよう注意しながら手札に加えたのち、次のプレイヤーの手番になります。これを山札が3週するまで続け、3週目の山札がなくなった時点で全プレイヤーが植えている豆を売却し、最もコインを稼いだプレイヤーが勝利します。
一般的に交渉ゲームといいますと、何かを欲しい側から持っている側へ声をかけますが、本作の場合は逆に、要らないものを持っている側から欲しがりそうな側へ声をかけることが多いです。交渉はもちかける側のほうが優位に事を進めやすいですが、本作ではもちかける側のほうが少し厳しい立場になっていますので、交渉が絶妙なバランスを保てています。というわけで、あまり交渉ゲームは得意でないという人にもオススメの作品です。
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(橋本 崇史)