マハラジャのお抱え商人を目指す2人用カードゲーム『ジャイプル』
今回紹介するのはカードゲーム『ジャイプル』。プレイヤーは商人となり、仕入れた商品を高く売って対戦相手より儲け、マハラジャのお抱え商人になることが目的の作品で、2人で遊べます。
ゲームに使用するのはカードとトークン。カードにはダイヤモンド、金、銀、布、スパイス、皮革という品物カードが6種類と、ラクダカードが含まれています。品物カードを売却した枚数に応じて金額の書かれたトークンを獲得していき、1ゲーム終了時に多く稼いだプレイヤーが"優秀の証"を1枚受け取ります。先に2枚の"優秀の証"を受け取ったプレイヤーの勝利となります。
ゲームスタート時に、最低3枚のラクダカードを含んだ計5枚のカードを表向きに並べて、市場の品物とします。そして各プレイヤーに5枚ずつ手札を配ったあと、プレイヤーは手札にラクダカードがあれば、取り出して自分の前に置いて準備完了です。
プレイヤーは、市場から品物カードを仕入れて手札をそろえていき、頃合いをみて売却していきます。同じ種類のカードを一度に多く売ったほうが、より多く儲かる仕組みです。ただし、プレイヤーが1回の手番でできるのは、品物を市場から仕入れるか、手札の品物を売却するかのどちらか片方を一度だけです。
品物の仕入れ方法は、3パターンあります。まず、市場の品物カードのうち、好きな1枚をとって手札に入れる方法。そうした場合、空いた市場には山札から新しいカードが表向きに補充されます。
さらに、市場に欲しい品物カードが複数ある場合は、同じ枚数の手札と交換する方法で、入手できます。その際、自分の前に置いたラクダカードを、さも手札のように交換材料の一部として使用可能です。
つまり、市場にある3枚の品物カードが欲しい場合、手札から3枚カードを出してもいいですし、手札のカード1枚に加えて自分の前に置いたラクダカードを2枚を出す、という組み合わせでもよいのです。ただし手札は最大7枚ですので(前に置いたラクダは数からのぞきます)、オーバーしないようご注意ください。
3つめは、ラクダカードを取る場合です。ラクダカードはほかの品物カードを市場から取る場合と異なり、市場にでているラクダカードのみをすべて引き取って、自分のラクダカード置き場に置きます。そのあと空いた場所に山札からカードが補充されます。
市場からカードを仕入れる際のポイントは、市場のカードを手札と交換した場合は、新たに市場へ加わるカードは自分が出したカードのみになりますが、カードを1枚取ったりラクダカードを取ったりした場合は、空いた場所に山札からランダムでカードが補充されるということです。そうしますと、より価値のあるカードが市場に並んだ状態で相手の手番になる可能性があるわけです。このように、自分は市場にあるカードがほしい、でも相手には良いカードを渡したくない、というジレンマが生まれるのがこのゲームの特徴です。
また、市場のカードが一度に複数欲しい場合は、交換するしかない、というのもポイントです。手札に同じ種類のカードをため込んでいるときに、市場に新しい商品がずらっと並びますと、どちらを優先するかで頭を悩ますわけです。
このようにして手札の品物カードがそろったら、売却します。売却する場合は、1度に1種類のものしか選べません。品物カードを売却しますと、一度に売却した枚数だけ、その品物のトークンが得られます。といいますとなるべく多くの枚数を集めてから売ればよい気がしますが、そう簡単にはいきません。
トークンにはそれぞれ得られる金額(ルピー)が書かれているのですが、早くその品物を売却したプレイヤーほど、価値の高いトークンを得られるのです。
たとえばスパイスのトークンの場合、価値の高い順に5ルピーが1枚、3ルピーと2ルピーと1ルピーのトークンが2枚ずつあります。最初に2枚のスパイスを売ったプレイヤーは5ルピーのトークン1枚と3ルピーのトークンを1枚を手に入れて8ルピー儲かりますが、その次に3枚のスパイスを売ったプレイヤーは3ルピーのトークン1枚と2ルピーのトークン2枚で7ルピーにしかなりません。
ただし、一度に3枚以上売却できた場合は、ボーナストークンが得られます。ボーナストークンでいくらのルピーを稼げるかはある程度ランダムなのですが、一度に多くカードを売却すればするほど、ボーナスも多くなる仕組みです。つまり、早めに品物を売却して確実に稼ぐか、ある程度数をためてボーナスをいただくかの、どちらにするかで悩むわけです。
本作は、品物を仕入れる際には仕入れる品物の種類・仕入れ方法で悩めますし、売却の際はすぐに売るべきかもう少し待って枚数を増やすかで悩めますので、楽しみどころが満載です。中盤以降は特に毎回の手番が重要になり、もう一手先に品物を売っていればよかった、などと思うこともしばしばです。ゲームのプレイ感覚は軽めですが、ジレンマに悩みつつしっかり遊んだ気になれますので、オススメの作品です。
© Game Works
(橋本 崇史)