ボードゲーム・エントランス

ボードゲームやカードゲームを中心としたアナログゲームを紹介しています。なお、2016年1月28日以前の記事は、株式会社インプレスが運営していた“ゆるこいぶろぐ”に掲載していた記事を、許諾を得て転載したものです。

カードに合うアイテムをすばやく掴みとる、混乱必至のゲーム『おばけキャッチ』

 今回紹介するのはコマとカードを使うゲーム『おばけキャッチ』。カードに描かれていたり、描かれていなかったりするコマをすばやく掴みとる作品で、2人から8人であそべます。

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 使用するのは、5種類のコマと60枚のカード。カードには、コマと形や色が似ているイラストが描かれています。カードは場の中央に山札として置かれ、1枚ずつ表向きにします。

 プレイヤーは、カードのイラストを頼りに、そのカードが示す特定のコマをすばやく掴みとることが目的です。正しいコマを掴んだプレイヤーがそのカードを手に入れられ、山札が尽きた時点でもっとも多くのカードを手に入れたプレイヤーの勝利です。

 コマはイス、おばけ、本、ネズミ、ビンの形をしています。そしてそれぞれ赤、白、青、灰色、緑の色に塗られています。

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 一方カードには、おばけや本、イスなどのコマのイラストが、1枚につき2種類ずつ描かれています。ではどれがそのカードの示すコマなのかといいますと、正解の判別方法は2通りあります。

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 まずは、カードにコマそのもののイラストが描かれている場合。その場合は、同じコマを掴みます。ただし、そのものというのは、コマの形だけでなく色も同じでなければなりません。つまり、カードに赤いイスが描かれていたらイスのコマを掴めばいいのですが、青いイスが描かれている場合は、イスを掴んではいけないのです。

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 もう1つは、カードにそのもののイラストが描かれていない場合です。その場合は、イラストに姿も色も描かれていないコマを掴みます。たとえば、カードに赤い本と灰色のビンのイラストが描かれている場合は、どちらもコマ本来の色とは違いますので、本でもなくビンでもなく、赤でもなく(つまり赤い色のイスはハズレ)灰色でもない(つまり灰色のネズミはハズレ)、白いおばけが正解なのです。

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 という説明でおわかりだと思いますが、遊んでみると予想通りに混乱します。イラストに描かれたものを掴む場合と、イラストに描かれていないものを掴む場合の2種類が、ランダムでやってくるので大変です。その上、多人数でスピードを競うわけですからなおさらです。

 私の場合、イラストに描かれていないものを懸命に探していたら、実はカードには正しいイラストが描かれていた、ということが何度もありました。また正解がわかっても、これで本当にいいんだろうかと逡巡しているうちに、他の人にコマをとられてしまったりとか、誰かにコマをとられた瞬間に正解がわかるなんてこともしばしばです。つまり個人的には苦手なゲームなのですが、混乱しながら頭をフル回転させる感じはとても楽しいです。

 その上、本作にはもっと訳がわからなくなる上級ルールが用意されています。"本は声を!"と題されたルールを適用した場合、イラストに本が描かれていたら、正解のコマを掴むのではなく、そのコマの名前を声に出して言わなければならないのです。本が描かれていなければ、今までどおりコマを掴みます。つまり通常ルールでは正解が2種類あったのに対し、上級ルールでは加えて回答の手法も2種類になるのです。

 この上級ルールを使って、すばやく正解を出そうとするのは大変で、私が遊んだときはお手つきが連発されました。おかげで場はいっそう盛り上がることに。一方、通常ルールでは歯が立たなかった私が、ワンテンポ遅れて正解を言ってカードをいただく、という不思議な展開も生まれました。漁夫の利とはこのことです。

 本作は、上手くコマを掴めたときは感心され、失敗してもそれはそれで盛り上がるという、どっちに転んでも楽しめる要素を備えた作品です。正解当てと間違い探しを同時に楽しむという混沌ぶりを、是非体験してみてください。

●URL

おばけキャッチ(日本語版発売元のページ)

http://www.mobius-games.co.jp/Zoch/GeistersBlitz.html

(橋本 崇史)