ボードゲーム・エントランス

ボードゲームやカードゲームを中心としたアナログゲームを紹介しています。なお、2016年1月28日以前の記事は、株式会社インプレスが運営していた“ゆるこいぶろぐ”に掲載していた記事を、許諾を得て転載したものです。

確率を考えながらコマを配置していくビンゴ風カードゲーム『アウグストゥス』

 今回紹介するのはカードゲーム『アウグストゥス』。ランダムに引かれるトークンに従ってコマを割り振りながらはやく目的を達成していくゲームで、2013年のドイツ年間ゲーム大賞の候補に挙がった3作のうちの一つです。2人から6人で遊べます。

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 プレイヤーは手持ちの7個の軍団コマを、3枚の目的カードに振り分けていきます。目的カードに指定された数だけ軍団コマを置くことができれば、その目的は達成されて勝利点を得ます。誰かが7つの目的を達成した時点でゲームは終了し、もっとも勝利点を多く稼いだプレイヤーの勝利となります。

 ラウンド開始時に、袋の中から1枚トークンがランダムで引かれます。トークンは7種類23枚あり、それぞれ枚数が違いますので引かれる確率も違うわけです。

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"双剣"や"盾"は枚数が多いので引かれる可能性は高いが、"短剣"は1枚しかないのでなかなか引かれない。なお、右下のトークンはワイルド・トークンで、どのトークンとしても扱うことができる

 各プレイヤーはトークンが引かれたら、自分の目的カード上に今引かれたトークンと同じスペースがあれば、そこに軍団コマを1つだけ置くことができます。

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"盾"トークンが引かれたので、この場合は両カード左側にある計3つの"盾"スペースのうちいずれか1つの上に、軍団コマを置ける

 その際、手持ちの軍団コマを置いてもかまいませんし、すでに置かれている軍団コマを移動してもかまいませんし、置かなくてもかまいません。

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軍団コマは目的カード上に置いてあっても移動できるので、手持ちの軍団コマを使い切っていても、右のカード上からどれか1つ軍団コマを左のカードに移動して"戦車"スペースを埋め、目的を達成することが可能

 そして次のラウンドになり、再び袋からトークンが引かれて各自がコマを置いていきます。引かれたトークンはいったん袋の外に置いておきますが、トークンがワイルド・トークンだった場合は、今まで引かれたトークンをすべて袋に戻されてリセットされます。つまり、必ずしも全部のトークンが使われるわけではありません。

 ポイントは、目的カードの種類が多様なことです。目的カードは全部で80枚以上ありますが、すべて異なったカードです。達成するために必要なコマの数や種類が異なるのはもちろん、得られる勝利点や特殊能力もさまざまです。

 特殊能力とは、カードの目的を達成すると発揮される能力で、即時能力・永続能力・ゲーム終了時能力の3種類に分類されます。

 即時能力は、すぐに追加で軍団コマを2個指定のスペースに配置できたり、それぞれの対戦相手の目的カード上から軍団コマをいくつか取り除かせることができたりする能力です。軍団コマを配置する能力は、うまく目的カードを組み合わせればコンボにする事も可能です。

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左のカードが達成されたので、その能力で即座に、右のカードにある"軍団旗"スペースに2つ軍団コマを配置して、連続で目的を達成できる

 永続能力は、ゲーム終了時まで2種類のトークンを同じものとして考えることができます。

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この場合"双剣"か"盾"のどちらかのトークンが引かれたら、この2種類のうち好きなスペースにコマを置くことができる

 ゲーム終了時能力は、目的カードに描かれたスペースのマークやカードの種類によって、勝利点が増える能力です。

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獲得したすべての目的カードに描かれている"軍団旗"の個数を3倍した勝利点が得られる能力

 そのほか、特殊能力はない代わりに得られる勝利点が高いカードもあります。

 また目的カード上の勝利点のほかに、報酬からも勝利点が得られます。たとえば、目的カードを一定枚数集めるともらえる報酬や、同じ色の目的カードを先に3枚集めるともらえる報酬、集めた目的カードに描かれた黄金や小麦が一番多いプレイヤーがもらえる報酬などがあります。

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 このように、自分の目的カードによって戦略が変わってきますので、ゲームスタート時に目的カードを6枚引いた中から3枚を選んで自分の場札にする際や、目的カードを達成するごとに場に並んだ5枚の目的カードから好きなものを選ぶ際は、カード同士のつながりを考えながら準備していくわけです。その戦略がピタリとハマるかどうかは、トークンの引きにかかってくるわけですが。

 本ゲームは、進化したビンゴゲームと言えます。ビンゴゲームの数字(本ゲームではトークン)を6つに絞り込んだ上で出現率に偏りをもたせて、ビンゴカード(本ゲームでは目的カード)に勝利点や特殊能力を加えて種類を増やしプレイヤーに多くの選択肢を与えることで、運だけのゲームだったビンゴゲームが手軽ながらもしっかり遊べるゲームになっています。

 プレイ感は軽いですが、運だけで勝負が決まるわけではないというバランスの作品です。確率を考えつつ適度に戦略を練ったり、その通りにトークンが引かれずヤキモキしたり、なんだかんだでコマが揃って"ビンゴ!"ならぬ"アヴェ・カエサル!"と宣言してから次の目的カードをどれにするか悩む、という案配です。プレイ時間は30分ほどと手軽で、プレイ中に待ち時間もほとんどなくサクサク遊べますので、初心者とベテランが一緒に遊ぶゲームとしてもオススメです。

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●URL

ホビージャパンゲームブログ >> ホビージャパンゲームBlog >> 戦争を起こすのは人よ『アウグストゥス』(輸入販売元ホビージャパンのページ)

http://hobbyjapan.co.jp/game/?p=7151

(橋本 崇史)