カードゲーム『ビースティーバー』12種類の動物を駆使して行列の先頭を目指す
今回紹介するのはカードゲーム『ビースティーバー』。動物たちの特殊能力を生かして行列の前を目指す作品で、2人から4人で手軽に遊べます。
プレイヤーは、自分の動物たちをなるべく多く"ビースティーバー"で開かれるパーティに送り込むよう画策します。店の前にできる行列の先頭に近いほどバーに入れる可能性が高くなりますが、最後尾にいると追い出されてしまい中に入れません。ゲーム終了時に、もっとも多くの動物たちをバーに入れたプレイヤーの勝利です。
主に使用するのは、プレイヤーにつき一組ずつ12枚の動物カード。プレイヤーは自分のカードを受け取ったら、よく混ぜたあと4枚を引いて手札にしたのち、残りを自分用の山札とします。そして入り口カードなどを共通の場にセットしたら準備完了です。
プレイヤーが手番でできることは、手札から動物カードを1枚選んでバーの行列の最後尾に並べて、カードの効果を発揮したのち手札を1枚補充するだけ。バーの行列が5体になったら、列の先頭とその次に並んでいた動物は中に入れます。ただしその際、最後尾にいた動物は問答無用で列から排除されて、路地裏に追いやられてしまいます。
これをすべてのプレイヤーが手札を使いきるまで続け、なるべく多くの動物をバーへ入れることを目指します。
ポイントは、12枚の動物カードはそれぞれ異なる強さと特殊能力を備えていることです。もっとも強い動物は12の数字が書かれたライオンで、もっとも弱い動物は1のスカンクです。これらの強さは、特殊能力が効果を発揮する際に使用されます。
たとえば11のカバは、列に並んだ際に自分よりも弱い動物(つまり数字の小さい動物)をまとめて追い抜きます。また10のワニは、列に並んだ際に自分よりも弱い動物を食べてしまいます。
一方7のシマウマは、カバやワニより数値的には弱いのですが、カバに追い抜かれることもなければワニに食べられることもありません。
加えてトリッキーな動物もいます。9のヘビは、列に並んでいる動物たちを即座に強さ順に並び替えますし、6のアザラシは、入り口カードと追い出しカードを即座に入れ替えます。
これらの能力をうまく組み合わせて自分の動物をバーに入れていくわけですが、さらにもうひとつ用意されている"継続アクション"という能力が、先の展開を読みにくくします。
"継続アクション"とは一部の動物が備えている能力です。通常、動物の特殊能力が効果を発揮するのはカードが場に出た際のみですが、"継続アクション"を備えた動物の場合は他のプレイヤーの手番中であっても効果を発揮するのです。
たとえば、キリンは自分よりも弱い動物を1体追い抜くことができます。この能力は"継続アクション"として効果を発揮しますので、条件が成立する限りゲームが進むごとにキリンは列の前へ進んでいきます。たとえ何らかの理由ですぐ前に新しく動物が割り込んだとしても、それがキリンより弱い動物だったら追い抜きます。
このように"継続アクション"として効果を発揮する動物は強力な場合が多いですので、使いどころの見極めが重要になってくるわけです。
本ゲームは、手軽に悩める作品です。序盤は場に出たカードと手札を見比べながら手探りで動物を出していきますが、各プレイヤーが使用するカードは同じなので、ゲームが進むにつれて推理力と記憶力が求められていきます。つまり、誰がどのカードを使ったかを考慮した上で、手持ちの動物カードを効果的に使おうと試行錯誤するのが悩ましくも楽しいです。
といっても一人が使用するカードは12枚と少ないので、長々と悩むことはありません。12種類の動物の能力を把握するまでは少し戸惑うかもしれませんが、各能力は遊んでいるうちに覚えられるのですぐに慣れるでしょう。
場のカードが増えるにつれて緊張感が高まり、5枚目が並ぶごとにワッと盛り上がります。ゲームの流れに緩急がありますので、計画通りにことが運んだ場合でも予想外の動物が出てきてひっくり返された場合でも、盛り上がれる楽しさがありますのでオススメです。
●URL
ビースティーバー(日本語ルール翻訳元メビウス ゲームズのページ)
http://www.mobius-games.co.jp/Zoch/Beasty_Bar.html
(橋本 崇史)