お金を使いすぎると負ける競りカードゲーム『ハイソサエティ』
今回紹介するのはカードゲーム『ハイソサエティ』。手持ちの資金を使いすぎないよう注意しながら贅沢品を競り落としていく作品で、3人から5人で遊べます。作者は『酔いどれ猫のブルース』のライナー・クニツィア氏ですので、ジレンマたっぷりな作りです。
ゲームスタート時に、各プレイヤーは同じ金額の貨幣カードの11枚セットを受け取ります。これらのカードを使って、山札からめくられる贅沢品を競り合っていき、終了時にもっとも勝利点を稼いだプレイヤーの勝利となります。
ただし、終了時に各プレイヤーの中で手元に残っている貨幣カードの合計額がもっとも少ないプレイヤーは、問答無用で負けになります。つまり、手持ちの資金を使いすぎないようにしながら、競りにも勝っていかなければならないのです。
毎ターン、1枚のカードが山札からめくられて競りにかけられます。めくられたカードが贅沢品カードだった場合、プレイヤーは手番がきたら、前の人より高い値を付けるかパスをするかを選択します。パスをしたら金額を払う必要はありませんが、その回の競りには復帰できません。1人を残してほかのプレイヤーが皆パスをしたら、最後の1人は提示した金額を支払う代わりに、贅沢品カードを手に入れます
問題は支払いの方法です。競りで値を付けるたびに手持ちの貨幣カードを出していくのですが、貨幣カードは1枚1枚ある程度まとまった額になっているのです。具体的には、1/2/3/4/6/8/10/12/15/20/25の11枚。貨幣カードは両替できませんし、一度手札から出した貨幣カードを戻すこともできません。
したがって、先のことを考えて額が高くなりすぎないように競り値を提示しようとしても、その回の相場にあう貨幣カードが手札になければ、やむを得ず高めのカードを出すかあきらめるかしなければならないのです。
また、競りにかけられるカードは贅沢品カード以外に、特殊なカードも含まれています。
褒賞カードは、最終的に手に入れた財産カードの得点が2倍になる強力なカードです。また災難カードは、獲得すると最終的な得点が半分になったり、マイナス5点になったり、1枚の財産カードを捨札にしなければならなかったりする損なカードです。
マイナスの効果を持つ災難カードを競る場合は、通常の競りとは逆になります。誰か1人がパスをするまで競りは続き、最初にパスをしたプレイヤーが災難カードを引き取る羽目になるのです。ただし、災難カードを引き取ったプレイヤーは、貨幣カードを支払う必要がありません。その代わりに残りのプレイヤーは皆、提示した金額を支払わなければならないのです。
ポイントは、ゲーム終了のタイミングが読めないことです。特殊なカードのうち4枚には赤い枠線が描かれていまして、それらのカードが山札から4枚すべてめくられた瞬間にゲームは終了するのです。
つまり、勝利点を稼ぐためには贅沢品を競り落とさなければならず、かといって資金を使いすぎると負けが決まってしまい、だからといって様子を見ていると赤い枠線のカードが出きってしまってゲームが終わってしまうかもしれない、といったように多くのジレンマが詰まっているのです。
おかげで競りの相場は把握しづらく、値を付けるのが悩ましいです。といっても手札は限られていますので長考するほどではありませんし、赤い枠線のカードは結構あっさりと4枚そろってしまう場合もありますので、重いゲームというわけでもありません。ただし、勝つためには記憶力や戦略が重要になってくる作品でもあります。特に、資金の使いすぎにはくれぐれもご注意してください。
●URL
ハイ・ソサエティ 日本語版 (High Society) - New Games Order, LLC.(日本語版発売元ニューゲームズオーダーのページ)
http://www.newgamesorder.jp/a/newgamesorder.jp/www/games/highsociety_jp
ジョーカーを上手く使いカードを競り合うカードゲーム『酔いどれ猫のブルース』 - ゆるこいぶろぐ(同作者の作品)
http://yurukoi.impress.co.jp/2013/08/07-yoidoreneko.html
タイルの数字に達するようサイコロを振り直していくダイスゲーム『ヘックメック』 - ゆるこいぶろぐ(同作者の作品)
http://yurukoi.impress.co.jp/2013/06/05-heckmeck.html
(橋本 崇史)