ボードゲーム・エントランス

ボードゲームやカードゲームを中心としたアナログゲームを紹介しています。なお、2016年1月28日以前の記事は、株式会社インプレスが運営していた“ゆるこいぶろぐ”に掲載していた記事を、許諾を得て転載したものです。

バザーの16施設を効率よく巡って商売するボードゲーム『イスタンブール』

 今回紹介するのはボードゲームイスタンブール』。商人と助手が手押し車に積んだ商品を計画的に輸送していく作品で、2人から5人で遊べます。2014年のドイツ年間ゲーム大賞エキスパート大賞を受賞した作品です。

 

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 プレイヤーは商人となり、数名の助手と手押し車を使って、バザー内の各所に荷物を届けて報酬を稼いでいきます。ゲーム終了時にもっとも多くのルビーを手に入れたプレイヤーの勝利です。

 

 舞台となるイスタンブールのバザーは、16種類の"場所タイル"で構成されています。プレイヤーは手番で自分のコマを動かしていき、止まった場所タイルで実行できるアクションを行うというのが大ざっぱなゲームの流れです。

 

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場所タイルは4×4に配置される

 

 プレイヤーのコマとなるのは、1枚の商人ディスクと4枚の助手ディスクです。ゲーム開始時に、スタート地点となる場所タイル"噴水"に、助手を4枚重ねた上に商人を置きます。

 

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 プレイヤーは手番が来たらまず、自分の商人と助手すべてを一緒に、いまの場所タイルから1つか2つ離れた場所タイルに、1回移動させます。それから、その場所でできるアクションを実行したあと次のプレイヤーの手番となります。

 

 ただし、移動したら必ずアクションを実行できるわけではありません。移動先の場所タイルに自分の助手が置かれていない場合は、移動させたディスクの中から助手を1枚その場所に残した場合のみ、アクションを実行できます。

 

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この場合、次に移動する際は助手を1枚残したままにする

 

 ですので、移動してきた商人の下に助手が1枚もなかったり、助手をその場所タイルに残したくない場合は、アクションが実行できないのです。

 

 一方、すでに自分の助手が置かれている場所タイルに移動した場合は、そのディスクの上に移動してきたディスクを重ねることで、アクションを実行できます。つまり、きちんと計画を立てて移動しながら助手を配置していけば、商人の下から助手がなくなることなくアクションを実行できるのです。

 

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この場合、次に移動する際は助手を一緒に持って行くので、この場所タイルには助手が残らない

 

 とはいえ、上手く助手を無くさないように移動するのはなかなか難しいです。ですので多くの場合は、スタート地点の場所タイル"噴水"のアクションを活用することになります。

 

 "噴水"は、助手が1つもいなくてもアクションを実行可能な場所で、アクションの効果は、散らばっている助手を任意の数だけ商人のもとに戻すことです。したがって、助手を各タイルに置きつつアクションを実行していき、商人だけになったら"噴水"に戻って助手を回収する、というのが基本的なゲームの進め方となります。

 

 本ゲームのポイントは、勝ちかたが複数用意されていることです。最終的にはルビーを多く集めることが目的ですが、ルビーの集め方はいくつか用意されていますので、状況に応じて手段を選択しつつ最適なルートを探る楽しみがあります。

 

 ルビーを入手できる代表的な場所タイルは、"スルタンの宮殿"と"宝石商"です。

 

 "スルタンの宮殿"では、タイルに描かれた商品を届けることで、ルビーを入手できます。

 

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この場合は、青と赤と緑と黄を届けるとルビーが1つもらえる。するとタイルに並んでいるルビーが取り除かれて新しい商品の描かれたマスが現れる。その結果、次にルビーを得るために必要な商品が1つ増えることになる

 

 商品を届けるためには、自分の手押し車に商品を積み込んでおく必要があります。入手しやすい商品である赤や緑や黄の商品は、それぞれ該当する商品の倉庫にいけば、手押し車の空きスペースがいっぱいになるまで仕入れることができます。

 

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黄の商品の倉庫にいったので、下にある手押し車の黄の商品がいっぱいになった

 

 もしくは場所タイル"闇市場"にいけば、赤や緑や黄の商品のうち任意のものを1つ入手できますし、"郵便局"にいけば赤や緑や黄の商品のうち少なくとも2種類を1つずつ入手できます。その上、ランダムで居場所を変える"密輸商人"のコマと同じ場所にいけば若干のコストと引き替えに任意の商品を入手できますし、場所タイル"隊商宿"などでもらえるボーナスカードを使用することで任意の商品を入手できる場合もあります。

 

 つまりルビーの入手方法だけでなく、ルビーを入手するために必要な商品の入手方法も複数用意されているのです。

 

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入手した商品は、各自の手押し車に載せて管理する。この場合、所持しているのは赤が1つ、緑が1つ、黄が2つで青はゼロ。なお、青の商品だけは倉庫から無償では入手できないので、手に入れるためには苦労する

 

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たとえば、"闇市場"にいった際にダイスを2つ振り、7以上の目が出たら青の商品を入手できる、など

 

 一方、場所タイル"宝石商"では、代金(リラ)を支払うことでルビーを購入できます。

 

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"宝石商"では、見えている代金のうち最大額のリラを払えばルビーを1つ購入できる。この場合は16リラ。誰かがルビーを購入すると"宝石商"からルビーが1つ取り除かれ、次に購入する際の価格が上がる

 

 リラを入手する手段も複数用意されています。代表的なのは場所タイル"小市場"、"大市場"で、それぞれ指定された商品をいくつか売ることで、リラを入手できます。

 

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左にある需要タイルに描かれた商品のうち任意のものを売ることができ、一度に売った商品の数に応じて、右に書かれただけのリラを入手できる

 

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なお、"小市場"よりも"大市場"のほうが多額のリラを入手できるが、その代わりに入手しにくい商品が多く必要

 

 もしくは、場所タイル"茶屋"にいけばダイスの目によっていくらかのリラを入手できますし、そのほか"郵便局"にいったりボーナスカードを使用するなど、さまざまな機会にリラを入手可能です。つまり、リラの入手方法も複数用意されているわけです。

 

 そして、これら一連の行動を楽に実行できる特殊能力も用意されています。場所タイル"小モスク"、"大モスク"にはそれぞれ、2種類の"モスクタイル"が置かれています。これらを入手すると、たとえば倉庫で品物を1色手押し車に詰め込む際、2リラ払うことで任意の商品を1つ入手できたり、5つ目の助手が利用可能になったり、"闇市場"や"茶屋"でダイスを振る際に目を操作できるようになったりします。

 

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 また、各自が所持している手押し車も、"荷車製造所"で対価を払えばより多くの商品を積めるように手を加えてもらうことも可能です。

 

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手押し車に拡張タイルをはめる図。対価を払うと、拡張タイルを手に入れられる

 

 さらに"小モスク"、"大モスク"、"荷車製造所"の各所でタイルを規定数だけ入手すると、それぞれの場所でルビーを手に入れられます。通常はルビーを5つ集めることが目標ですので、この3カ所の目的を達しますと、目標の半分以上を集められるわけです。

 

 そのほかにも、便利な効果を発揮するボーナスカードや、商人の代わりにアクションを実行できる"親族コマ"など、選択肢を増やす舞台装置がいくつか用意されています。

 

 と説明しますと、要素が多くて選択肢が多様に感じますので、手番が来るたびに考え込んでしまい遊び終わるのに長い時間がかかる"重いゲーム"だと思えるかもしれませんが、そうでもありません。

 

 最初に遊ぶ際は、ルールやコマの動かし方、場所タイルの働きなどを把握しなければなりませんので多少は時間がかかりますが、やることは何らかの形で品物を入手してどこかに運んでいくだけとシンプルですので、ゲームの流れは把握しやすいです。

 

 プレイ時間は公称40分から60分で、筆者が遊んだ感じでは数回遊べばさくさくと60分を切ったゲームを堪能できました。遊んだ感覚も、あとに残るほどの重さはありませんので、すぐにもう一度遊んでみようという気になれます。

 

 なおスタート時に配置する16種類の場所タイルは、ルールブックに記載されたお勧めの並び方だけでなく、ほぼランダムで配置して遊ぶことが可能ですので、ある程度やりこんでも新鮮な気持ちで遊べるところもうれしいです。

 

 本ゲームは、上級者向けのゲームとしては手軽ですが、運の要素が少ないため勝つためにはしっかりアタマを使う必要があります。つまり入り口のハードルは低いですが奥の深いゲームですので、初心者でないのならばルートの最適化にどっぷり浸れるのではないでしょうか。

 

© 2014 Pegasus Spiele GmbH, Straβheimer Str.2 61169 Friedberg, GERMANY.www.pegasus.de

 

●URL

PEGASUS SPIELE ONLINE: Detailansicht - Wir machen Spaβ

http://www.pegasus.de/detailansicht/55115g-istanbul/

Twitter / SpieldesJahres: Kennerspiel des Jahres 2014 ...(ドイツ年間ゲーム大賞エキスパート大賞受賞を告知するツイート)

https://twitter.com/SpieldesJahres/status/488606353863507968

Twitter / HobbyJAPAN_GAME: と、いうわけで今年のドイツ年間ゲーム大賞、エキスパート対象は ...

https://twitter.com/HobbyJAPAN_GAME/status/488613959302275072

ラクダの上にラクダが乗っかるレースに賭けるボードゲーム『キャメル・アップ』 - ゆるこいぶろぐ(2014年のドイツ年間ゲーム大賞受賞作の紹介記事)

http://analog-game.hatenablog.com/entry/02-camelup.html

 

(橋本 崇史)