ボードゲーム『海底探険』:窒息ぎりぎりまで粘って海底のお宝を回収せよ
今回紹介するのはチップを使ったゲーム『海底探険』。1人が少しでも無謀なことをするとみんなが道連れになるかもしれないスリリングな作品で、3人から6人で手軽に遊べます。
プレイヤーは探検家となり、海底遺跡にお宝を取りに行きます。ただしみんな貧乏なため、潜水艦は全員で一つ、そして空気タンクも全員で一つです。タンクの空気がなくならないうちになるべく多くのお宝を回収すると得点になり、ゲーム終了時にもっとも得点を稼いだプレイヤーの勝利です。
使用するのは母艦となる潜水艦ボードと探検家コマ、お宝を示す遺跡チップとダイスが2つです。まず潜水艦ボード(以下潜水艦)に空気マーカーと各プレイヤーのコマとなる探検家コマを置きます。それからレベルごとに分けた遺跡チップを裏向きで混ぜたあと、潜水艦から1列になるよう並べたら準備完了です。
潜水艦から延びる遺跡チップは、探検家コマが進むマスとなります。手番のプレイヤーは、ダイスを2つ振って出た目の数だけ、遺跡チップのマスに沿って探検家コマを進ませていきます。そして、たどり着いたマスの遺跡チップを獲得します。
遺跡チップは、レベルが高くなるほど裏側に記されたお宝の価値が上がっていきますので、なるべく深いところにあるレベルの高い遺跡チップまで到達するのが目的となります。
といっても単に潜っていくだけではお宝を手に入れられません。手番でダイスを振るまえに残りの空気が減っていくからです。減る空気の量は、手番プレイヤーがそのラウンドで獲得した遺跡チップの個数になります。
ポイントは、空気タンクは全プレイヤーで共通だということです。つまり、自分が空気を全く消費しなくても、残りのプレイヤーがお宝を多く抱え込んでいると、手番が1周しただけでみるみるうちに残りの空気がなくなってしまうのです。
空気がゼロになってしまった段階で、まだ潜水艦に帰ってきていないプレイヤーは全員、そのラウンドで拾ったお宝をすべて落とした上で、ほうほうの体で潜水艦に帰還します。
ですので空気がなくなる前に帰還しようとするのですが、問題になってくるのは帰還するタイミングです。もっと深く潜っていくか帰還するかは手番の開始時、つまりダイスを振るまえに決めなければなりません。その上、一度潜水艦へ引き返すと決めたら、そのラウンド中は再び方向を変えて深く潜ることはできないのです。
またお宝を持っていると、空気の減りかたが激しくなるだけでなく、重くなって進みづらくなるという問題も発生します。具体的には進めるマスの数が、ダイスの目から荷物の数を引いたものになります。つまり、欲張ってたくさんのお宝を抱え込むと、手番がきてもなかなか潜水艦にたどり着けない上に、残りの空気がどんどん減ってしまうわけです。
空気がなくなるなどの理由で全員が潜水艦に帰ったらラウンド終了で、これを3回繰り返して獲得したお宝の価値がもっとも高いプレイヤーの勝利となります。
本ゲームの面白いところは、タイミングを見誤ると有利な立場が一転して危険になることです。序盤、みんなで深みを目指している間は、なるべく先に進んだプレイヤーが深いところにあるお宝を手に入れるチャンスがあるので有利になります。
しかし、ある程度潜った段階でポツポツとお宝を回収したプレイヤーが出てきますと、どんどん残りの空気量が減っていきますので、一転して深く潜っているプレイヤーほどピンチになります。ですので、どのタイミングで引き返すことにするかの決断がキモとなるのです。
また、他のプレイヤーの行動を読むことも重要です。残りの空気の量が全員共通なので、計算した上でもう少し潜っても帰れるなと考えたとしても、一人でも計算外の行動をするプレイヤーが出てくると、計画は一気に破綻してしまうからです。
そして最終的にはダイス目がすべてを決めるところも場を盛り上げます。特に終盤は、空気の残量ぎりぎりまで潜っていたプレイヤーが帰れるか帰れないかを最後の一振りに賭けますので、結果がどっちに転ぼうとも熱くなるのです。
本ゲームは手軽にわっと盛り上がれる作品です。プレイヤー同士の読み合いと各自の計算、そしてままならないダイス目や予想以上に早く減っていく空気の残量などが組み合わさって、最後までドキドキした展開を味わえます。やること自体は簡単でプレイ時間も短めですので、初心者からベテランまで楽しめるでしょう。
●URL
海底探険 - Oink Games
http://oinkgms.com/?pid=83947160
Oink Games
(橋本 崇史)