展開を読みつつ他人よりも早く鍋に食材を放り込むゲーム『バーグー』

　今回紹介するのはチップを使ったゲーム『バーグー』。自分の前に並べたチップの列を早くなくしていく作品で、2人から5人で遊べます。

　プレイヤーはシェフとなり、自分の用意した食材チップを鍋に投入してバーグー（シチューのこと）を作っていきます。もっとも早く自分のレシピの食材をすべて鍋に投入したプレイヤーの勝利です。

　使用するのは6種類の食材チップ（以下、食材）がそれぞれ16枚ずつ。プレイヤーは、食材を1種類につき2枚ずつ取った上で、ランダムに自分の前に一列になるよう並べます。その後、6種類の食材を1枚ずつ取って手の中に隠し持ったら準備完了です。

自分の前に並べた食材の列は"レシピ"と呼ぶ。レシピをなるべく早くなくすのが目的だ。レシピは、一方の端を自分のほうに、もう一方の端は場の中央になるように並べる。残った食材は場の中央にまとめて置き、これを"鍋"と呼ぶ

　プレイヤーが手番でできることは3種類のアクションのうちから1つだけ。手に持った食材を鍋に投入するか、鍋のバーグーを試食するか、レシピを分割するかです。

　食材を鍋に投入する場合は、手に隠し持った食材から1枚を選んで鍋に投入しつつ、"先頭"もしくは"最後尾"と宣言します。手番プレイヤーを含めたすべての参加者は、いま鍋に投入された食材が自分のレシピのうち宣言された箇所にあるかどうかを確認します。もしあれば、その食材も一緒に鍋に投入されます。

この状態でニンジンが投入されて先頭（鍋に近いほうの端）と宣言された場合、手番プレイヤーのレシピにあるニンジンのほかに、右側のプレイヤーのレシピにあるニンジンも鍋に投入される。ただし、左のプレイヤーのニンジンは先頭にないので投げ込まれない

　つまり、なるべく自分のレシピからのみ食材を減らせるように、手の中の食材を投入していくわけです。といっても、初期レシピには食材が1種類につき2枚ずつあるのに対して、手持ちの食材は1枚ずつしかありませんので、このままでは手詰まりになってしまいます。

　それを解決する手段の1つは、鍋に食材を投入するタイミングにあります。食材を投入した際に、手番プレイヤーの右もしくは左側のプレイヤーのレシピから食材が投入された場合は、ボーナスが発生することがあるのです。投入されたその食材が、該当プレイヤーのレシピのなかで最後の1つだったら、鍋に投入される代わりに手番プレイヤーが手の中に獲得するのです。

手番プレイヤーはセロリを投入して最後尾（自分に近いほうの端）と宣言した。右のプレイヤーも最後尾にセロリがあるので、同時に鍋に投入される。しかし、そのセロリはレシピの中で最後の1つだったため、鍋の中にいく代わりに手番プレイヤーが獲得する

　もう1つの手段は、鍋のバーグーを試食するアクションです。試食をする場合は、鍋の中から食材を1つ選んで自分の手の中に入れることができます。ただし、何の食材を持って行ったかは宣言しなければなりません。

　そしてポイントになるのは、レシピを分割するアクションです。手に持った食材を1枚鍋に投入すると、自分の任意のレシピ1列を分割することができるのです。具体的には、いま鍋に投入した食材のすぐ前もしくは後ろで分割できます。

じゃがいもを投入してレシピを分割すると宣言した。分割したレシピは、並び順などを変更することなく隣に並べる

　本ゲームは、スタート時に自分の手にあるチップだけでは、自分のレシピの食材をすべてなくすことはできません。といっても試食ばかりするのは効率が悪いですので、どうにかして他のプレイヤーが鍋に投入する際に便乗できるかが勝負になります。

　そのためにはレシピを分割して、先頭もしくは最後尾の数を増やすことがポイントになります。1列を2列にすれば、それだけで単純に先頭と最後尾の数が、2つから4つに増えるからです。なおかつ、他のプレイヤーのレシピや手に持っているはずの食材を考慮に入れれば、より効率的に分割できるでしょう。

　本ゲームは、推測と記憶力が重要な作品です。スタート時のレシピおよび手の中のチップの種類は同じですので、それらがどう変化したかを記憶しつつ、先の展開を推測できるかが勝負の分かれ目になります。

　チップしか使用しないゲームですのでいっけん簡単に思えますが、遊んでみると結構アタマを使う悩ましい作品です。手番が回ってくるたびに全体の状況は変化していますし、自分のレシピから食材を減らそうとするとたいてい他のプレイヤーのレシピも関係してくるからです。

　ですので、どのタイミングで鍋に投入すべきなのか、もしくは分割したほうがいいのかといった具合に、複数の選択肢で悩んでしまうのです。

　といっても長々と長考するほどではありませんし、完全な手詰まりになることもありませんので、1プレイにかかる時間は長くありません。その上、ちょっと変わったプレイ感をあじわえて、つい何度か繰り返して遊びたくなる作品ですので、シチューが好きな人もそうでない人も、自分なりのレシピでバーグーを作ってみてください。