自国は豊かに、他国は貧しくなるようタイルを置くボードゲーム『キングダム』
今回紹介するのはボードゲーム『キングダム 完全日本語版』。タイルを置くか自分の城を置くかが悩ましい作品で、2人から4人で遊べます。
プレイヤーは領主となり、豊かな土地を探して自分の城を建てて収入を得ていきます。舞台となるのは縦5マス横6マスの合計30マスのゲームボード。プレイヤーは空いているマスにタイルもしくは城コマを1つずつ置いていき、すべてのマスが埋まったら収入を計算します。これを3周繰り返し、ゲーム終了時にもっとも多くのゴールドを稼いだプレイヤーの勝利です。
プレイヤーが手番でできることは2種類。自分の城を置くか、タイルを置くかです。城を置く場合は、空いているマスに1つ城コマを置きます。タイルを置く場合は、スタート時にランダムに配られた1枚を置くか、裏向きに伏せられて置かれている残りのタイルの山から1枚とって置くかのどちらかを行えます。
タイルにはプラスの1から6の数字もしくはマイナス1から6の数字が書かれています。収入計算時に、自分の城と同じ段もしくは列にあるタイルの数字の合計だけ収入になります。たとえば、自分の城と同じ段にプラス4とプラス1とマイナス1のタイルがあったら、収入は4ゴールドです。
すべてのマスがうまったら収入計算になり、収入計算が終わったら場のタイルをすべて取り除いてスタートの状態に戻して、2周目もしくは3周目を開始します。
といっても単にタイルの数字を合計した額だけが収入になるわけではありません。城にはレベル1から4までが用意されており、収入・支出の額はタイルの数字に城のレベルを掛けたものになるのです。したがってタイルの合計がマイナス3の列にレベル4の城があった場合は、マイナス12の支出になってしまいます。
さらに展開を面白くするのは、特殊な効果を備えた山タイル、ドラゴンタイル、金鉱タイル、魔法使いタイルの4種類です。山タイルは、タイルが置かれたマスで段や列を分割して、他のタイルの効果を及ばなくします。
そのほか、ドラゴンタイルは置かれた段や列にあるプラスの数字だけを0にしますし、金鉱タイルは同じ段や列のタイルの数字をプラスであろうがマイナスであろうが2倍にする、などといった効果を発揮します。これらのタイルは上手く使えば状況を大きく変化させることができます。
だからといってこれらのタイルを引いたら絶対的に有利か、といいますとそうでもありません。ポイントは、自分の手番で行えるのが、タイルを置くか城を置くかのどちらかだけということです。
金鉱タイルやプラス6のタイルなどの有利なタイルを置いた場合、そこに絡むように自分の城を置きたいところですが、そのためには1周待たねばなりません。ですが自分の番が再び回ってくる時には、たいてい美味しいマスはあらかた埋まってしまいます。
それを防ぐためには、先に自分の城を置いておくという方法があります。たとえば、自分のレベル4の城が置かれた段や列に空いているマスがある際に、プラス6のタイルを引いてきたら確実に大きな収入を得られます。ただし、レベル4の城の段や列に空きがあると、対戦相手に真っ先に目を付けられてマイナスのタイルをどんどん置かれてしまうという難点もあるのです。
このように本ゲームは、名手ライナー・クニツィア氏の作品だけあって、各所にジレンマが詰め込まれています。まずタイルを置くか城を置くかで悩みますし、どちらかを置くと決めたとしても、どこに置くかでまた悩めます。といっても、長考するほど選択肢が多いわけではありませんので、適度に悩みつつも割とサクサク遊べてしまうという特徴があります。
なお、3回ある収入計算に少し手間がかかりますので、ルールブック最後にある具体例を参考にするといいでしょう。
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●URL
ArclightGames(日本語版発売元のアークライトのページ)
http://www.arclight.co.jp/ag/agbg/agbg.php?code=LG-0038
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(橋本 崇史)