夏の思い出をたくさん集めていくカードゲーム『なつのたからもの』

　今回紹介するのはカードゲーム『なつのたからもの』。同じ色のカードをめくらないようにしながら、狙ったカードが出るまでめくっていく作品で、3人から5人で遊べます。

　プレイヤーは、夏の思い出を作るために"たからもの"を集めていきます。ゲーム終了時にもっとも点数を稼いだプレイヤーの勝利です。

　プレイ中に使用するカードは、大きく分けて"たからものカード"と"アクションカード"の2種類。これらのカードをよく混ぜてから裏向きで山札にしたら準備完了です。

　"たからものカード"は10色あり、各色それぞれ0から7の数字が書かれたものが1枚ずつ用意されています。

　プレイヤーは手番になったら、山札からカードを1枚めくることができます。めくったカードが"たからものカード"だった場合は、山札のそばに一列になるよう並べていきます。その後プレイヤーはもう一枚めくってもかまいませんし、やめることもできます。手番開始時にカードが場に並んでいたらそもそも1枚もめくらないこともできます。

　カードをめくるのをやめたら、場に並んでいる"たからものカード"のうち、任意の一枚を取って手札にすることができます。その際に、同じ数字のカードが3枚そろったら、セットにして自分の前に公開できます。この3枚一組のセットは、ゲーム終了時に一組につき10点になります。その後、次のプレイヤーの手番になります。

　また、点数の稼ぎ方はもう一通りあります。ゲーム終了時に手札にあるカードのうち、各色でもっとも大きい数字の1枚ずつが、数字のぶんだけ点数になります。つまり、低い数字のカードの3枚セットを作りつつ、なるべく大きい数字のカードを確保していくわけです。

この場合、セットが2つで20点、オレンジが6点、紫が7点、黄色が大きい方の3点のみの計36点となる

　それでは欲しいカードが出るまでカードをめくり続ければいいのかといいますと、そう単純ではありません。山札からめくったカードが、すでに場に並んでいるカードと同色だった場合は、いまめくったカードを捨て札にした上で手番が終了してしまうのです。もちろんこの場合は場のカードを手札にすることはできません。

2枚目の水色のカードが出てしまったため、右端のカードは捨て札になる

　ですので、カードは全部で10色あるということや、すでに対戦相手がもっていったカードは何だったかなどを考慮しつつ、どこまで粘ってカードをめくっていけるかというチキンレースになります。

　一方、"アクションカード"をめくった場合は、カードをめくる作業はそこで終了し、即座に使用したあと次のプレイヤーの手番になります。"アクションカード"は、対戦相手から手札を1枚もらえるものや、手番が強制終了することなくカードを多くめくることができるものなど3種類用意されています。

　ゲームは、山札のカードがすべてめくられるか、誰かが手札に10色の"たからものカード"をそろえた上で宣言するかで、終了します。カードを10色そろえてゲームを終わらせたプレイヤーには、ボーナスとして10点が入ります。

　本ゲームは、名手ライナー・クニツィア氏の作品らしくジレンマが楽しい作品です。ダメもとでどんどんめくることで案外うまくいくこともあり、1枚しかめくっていないのにあっさり同色が出て手番が終了してしまうこともあり、めくるたびにドキドキできます。

　そして特筆すべきは、本作品を出す際にゲームのテーマをガラッと変更したことです。もともとは『ノミのサーカス』というタイトルの作品だったのですが、ニューゲームズオーダー社が和風にアレンジしたのです。

　個人的にこのアレンジはとても気に入りました。夏休みをテーマにした結果、もともとの作品よりも親しみやすくなっていますので手にとって遊びやすいですし、さまざまな色合いで描かれた"たからものカード"は見ているだけで楽しい気分になってきます。

　ルールブックも、アナログゲームにあまり慣れていないような人を意識したと思われる、平易でわかりやすい書きかたになっていて好感が持てました。

　このように、本作品は初心者が初めて買うのに向いている上に、クニツィア氏の作品ですのでベテランでも十分楽しめるという作りになっています。プレイ時間は短くゲーム内容もシンプルですが、度胸試しのチキンレースはじわじわ盛り上がりますので、オススメの一品です。

●URL

なつのたからもの - New Games Order, LLC.（日本語版発売元ニューゲームズオーダーのページ）

http://www.newgamesorder.jp/games/natsunotakaramono

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（橋本 崇史）