タイルの数字に達するようサイコロを振り直していくダイスゲーム『ヘックメック』

　今回紹介するのはダイスゲーム『ヘックメック』。タイルに書かれた数字を目指してサイコロを振っていく手軽な作品で、2人から7人で遊べます。

　使用するのは16枚の虫タイルと、8個のサイコロ。虫タイルには21から36の数字と1匹から4匹の虫が、サイコロには1から5の数字と、虫の絵が描かれています。

　プレイヤーは8つのサイコロを振っていき、出た目の合計が虫タイルの数字に達したらその虫タイルを入手できます。場の虫タイルが無くなったらゲーム終了で、獲得した虫タイルに描かれた虫の数がもっとも多かったプレイヤーの勝利になります。

大きい数字の虫タイルのほうが、多くの虫を獲得できる

　サイコロを振るといっても、ただ8個を一度振るだけではありません。まず最初は8個すべてを振ります。その際に出た目のうちから1種類すべてを選んで、目を確定します。そのあと、残りのサイコロをすべて振り直すことができるのです。

　ただし、振り直す際にはいくつかルールがあります。まず、振り直したあとのサイコロも1種類の目を選んで確定させるのですが、その場合はすでに確定している目と同じ物は選べないのです。

　つまり最初に振った際に5を2つ確定していた場合、2回目以降に振ったサイコロで5が多く出たとしても、選べないのです。

この場合は5をすでに確定しているので、新たに出た三つの5は選べず、1か2か虫の目のうちのどれかを確定しなければならない

　さらに、サイコロを振り直すたびに、必ず1種類の目を確定させなければなりません。また、最終的に確定したサイコロの目の中に、少なくとも1つは虫の目が入っていなければなりません。なお虫の目は、数値としては5と考えます。

　以上のルールにしたがい何度かサイコロを振り直したら、サイコロの目を確定したいずれかのタイミングで、すべての目を確定させていなくても手番をやめることができます。その時点でサイコロの目の合計が虫タイルの数字に届いていれば、虫タイルを獲得できます。

　さらに、サイコロの目の合計が、他のプレイヤーが獲得済みの虫タイルの数字とぴったり同じになったら、その虫タイルを横取りする事も可能です。

獲得した虫タイルは積み重ねる形で置いておく。一番上の物のみ、横取りされる可能性がある

　ただし、振り直しても出目がすでに確定済みのものと同じ目しか出なかったり、すべてのサイコロの目を確定させたとしても合計が虫タイルの数字に届かなかった場合は、手番はバースト、つまり失敗となります。

すでに5と虫の目と2を確定したあとに、2の目が二つ出てしまうと失敗になる

　その場合は、手元に虫タイルを獲得していたら場に返した上に、場にある虫タイルのうち一番大きい物を裏返しにしなければなりません。裏返しになった虫タイルはゲーム終了までそのままで、誰も獲得できません。

出目が悪い場合、ゲームが進むと虫タイルはどんどん裏返しになっていく

　本ゲームのポイントは、サイコロの虫の目です。虫の目は、最終的に確定したサイコロの中に1つは無くてはならないのですが、虫の目自体が5に換算される為、なるべく多くの虫の目を確保したくなるわけです。

　しかし欲張ってどんどん振り直していきますと、最終的に虫の目が1つも確保できずにバースト、ということがあります。だからといって早めに1つや2つで虫の目を確定しますと、合計の数字が大きくならずやはりバーストになることもあるのですが。

　さらに、残り2個のサイコロでどちらかが4になれば虫タイルを取れるという状況で、気合いを入れながらダイスを振ったにも関わらず、すでに出た目と同じ目しか出ずにバースト、ということもままあり、それはそれで盛り上がるわけです。

　このように本ゲームは、サイコロの出目からなにを選んでなにを振り直すかというさじ加減に悩むのが楽しい作品です。勝つためには運だけでなく確率を考えた上での選択が必要ですが、適度に悩みながら手軽に遊べますので、さらっと遊びたくなったときなどにオススメです。

●URL

ヘックメック（日本語ルール翻訳元メビウスゲームズのページ）

（橋本崇史）