ボードゲーム・エントランス

ボードゲームやカードゲームを中心としたアナログゲームを紹介しています。なお、2016年1月28日以前の記事は、株式会社インプレスが運営していた“ゆるこいぶろぐ”に掲載していた記事を、許諾を得て転載したものです。

マイナス得点を取るかコインを払うかのジレンマが楽しいカードゲーム『ゲシェンク』

 今回紹介するのはジレンマが楽しいカードゲーム『ゲシェンク』。マイナス得点を取らない為にコインを払っていく作品で、3人から7人で遊べます。

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 使用するのはチップと、3から35までの数字が書かれた33枚カード。カードを受け取ってしまうと、書かれた数字だけマイナスの点になってしまいますので、なるべく取らないようにしていき、最後にもっとも点数が高かったプレイヤーの勝利です(たいていマイナスですが)。

 ゲームスタート時に、一定数のチップを各プレイヤーに渡します。チップはゲーム終了時に1枚につき1点になります。それからカードをよく切って24枚だけを山札にして中央に伏せておきます。残りのカードは使いません。

 手番プレイヤーは、山札のカードを1枚表側に向けます。そして、そのカードを受け取るかどうかを決めます。カードを受け取りたくなければ、チップを1枚、カードの側に置きます。そうすると次のプレイヤーの番となり、そのプレイヤーがカードを受け取るか、チップを1枚払うかを決めます。

 表側になったカードが6などの低い数字でしたら、受け取っても気にならないのですが、30などの大きな数字ですと大きくマイナスになりますので、絶対に受け取りたくないわけです。というわけで皆がチップを1枚払っては次の人の番になる、を繰り返していきます。

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大きなマイナスの数字の場合はチップがどんどん溜まっていく

 ここで重要なのは、カードを受け取ることにした場合は、一緒に、場に出されたチップももらえるということです。カード単体では30という大きなマイナスでも、たとえば4人で手番が4周すると、16枚のチップがたまりますのでマイナス14と同じことになります。したがって、ある程度チップがたまったところで取ろうかどうしようかという悩みが生まれるわけです。

 そしてもう1つ重要なのが、連続した数字のカードを受け取った場合は、一番下の数字だけがマイナス得点になるということです。つまり、24/25/26と3枚のカードを受け取っている場合は、合計の点はマイナス75ではなくマイナス24になるのです。

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この場合はマイナス24となる

 したがいまして、誰かが持っているカードと連続した大きな数字のカードがでますと、数字をつなげられるプレイヤーは受け取っても痛くありませんが、それ以外のプレイヤーは受け取ると大きなマイナスになるので避けたい、という状況になります。こうなりますと、受け取っても大丈夫なプレイヤーは、望むだけチップが場にたまるのを待ってから、カードを引き取ることができるわけです。

 ですがその場合は、1つ注意しなければならないことがあります。手番が回ってきた際に手持ちのチップがない場合は、カードを取らなければならないのです。各自が持っているチップの数は隠しておくルールですので、いつチップが尽きるかは本人しかわかりません。そのため、もう少し場のチップをためてからカードを取ろうと思っていたら、強制的に別のプレイヤーが取ってしまった、ということがしばしばおきます。欲張りは禁物なのです。

 また、1回のゲームでは33枚のカードのうち24枚しか使いませんので、必ずしも出てくる数字が連続するかどうかはわかりません。ですので、大きな数字のカードをとるのは勇気がいるのですが、数字が大きいカードほど、連続した場合多くのチップを獲得できるチャンスが生まれますので、夢も見られるわけです。

 このように本作は、色々なところに悩めるポイントがちりばめられている、ジレンマたっぷりのゲームです。適度なランダム性もありますので、長々と悩むこともなく、サクサクと遊べます。山札内のカードに期待しつつ、チップ数や場札などを考慮に入れながらの読み合いを楽しんでください。

●URL

ゲシェンク(日本語版発売元のページ)

http://www.mobius-games.co.jp/Amigo/geschenkt.htm

(橋本 崇史)