ボードゲーム・エントランス

ボードゲームやカードゲームを中心としたアナログゲームを紹介しています。なお、2016年1月28日以前の記事は、株式会社インプレスが運営していた“ゆるこいぶろぐ”に掲載していた記事を、許諾を得て転載したものです。

"パズドラ"のデッキ構築型カードゲーム『攻略!メタドラダンジョン』

 今回紹介するのはカードゲーム『攻略!メタドラダンジョン』。大人気スマホアプリのゲーム『パズル&ドラゴンズ』をベースとした作品で、2人から4人で遊べます。先日開催された"ゲームマーケット2013秋"で先行販売されていたもので、正式発売は11月15日です。

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 デッキ構築型カードゲームとは、トレーディングカードゲーム(以下、TCG)のシステムから発想されたゲームです。TCGの場合、遊ぶ前に手持ちのカード資産からこれと思う組み合わせを考えて、自分用のカードの山札であるデッキを作ります。

 一方、デッキ構築型カードゲームの場合は、場に準備されたカードをゲーム中に購入しながら自分用のデッキを作り上げつつ、勝利条件を目指していきます。自分なりのカードの組み合わせを探求するというTCGの特徴をうまく取り入れつつ、1回のゲームで使用するカードの種類は各プレイヤー共通ですので、TCGにありがちな強いカードを持っている人が有利、という要素を無くした作りになっています。

 本ゲームは、デッキ構築型カードゲームの元祖である『ドミニオン』に近い、オーソドックスな作りになっています。『ドミニオン』の王国カードにあたるのがモンスターカード、財宝カードにあたるのが魔法石カード、勝利点カードにあたるのが得点カードといったところです。

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左から、モンスターカード、魔法石カード、得点カード

 『ドミニオン』と大きく異なるのは、モンスターカードにはプレイした際に発揮される効果のほかに、攻撃力が記載されていることです。この攻撃力を合計した数値でダンジョンを攻略して、勝利するための得点を稼ぐ仕組みです。

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 そのため、勝利への道筋も異なります。『ドミニオン』では手札として使用するカードと同様に勝利点のカードを購入しますが、本ゲームでは得点を稼ぐカードは(一部の例外をのぞいて)購入できません。

 ゲーム開始時に、別途用意したメタドラダンジョンの山札から3枚のメタルドラゴンのカードがめくられます。これらにはHPと得点か書かれており、プレイヤーが攻略すると決めたメタルドラゴンのカードのHPと、そのラウンドに出したカードの攻撃力の合計を比較して、攻撃力の数値がカードのHP以上になれば倒すことができます。倒したメタルドラゴンは、自分の捨て札に加わり、場には山札から新たなカードがめくられます。

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メタドラダンジョンの山札にはメタルドラゴンしかいない。中には、倒すのは大変だが倒したら即座に勝利できるカードもある

 このようにしてメタルドラゴンを倒していき、メタドラダンジョンのカードがすべて場にめくられたら、もう1度ずつ各プレイヤーにラウンドが回った後にゲームは終了します。そして獲得したすべてのカードの合計得点がもっとも高いプレイヤーの勝利です。

 得点を稼ぐために活躍するのは、24種類のモンスターカードです。カードには、獲得する際に必要なコストや、プレイ時に発揮される効果であるスキルのほかに、リーダースキル、属性、タイプ、攻撃力といった要素が備わっています。

 特徴的なのはリーダースキルです。毎ラウンドの最初に、手持ちのモンスターカードのうち1枚をリーダーとして場に出すことができます。リーダーとして置かれたカードは、プレイヤー自身が選んで場からどかさない限り場に置かれ続けて、各ラウンドの序盤にリーダースキルを発揮します。

 リーダースキルには、たとえばカードを引ける枚数が増えるとか、カードをプレイできる枚数が増えるとか、魔法石がもらえるといった便利な能力があります。

 本ゲームは『ドミニオン』と同じく、標準では毎ラウンドにプレイできるモンスターカードは1枚のみ、獲得できるカードも1枚のみ、手札は前のラウンドの最後に引いた4枚のままなので、リーダースキルでこれらを底上げできると大きな強みとなります。

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"金色の女神・パールヴァティー"のリーダースキルは、"+1ドロー""+1プレイ""+1魔法石""+1ゲット"なので、リーダーにすれば毎ラウンドカードを1枚追加で引け、プレイの回数が1回増え、魔法石が1つもらえ、獲得できるカードの枚数が1枚増えることになる

 さらに、カードを獲得する際に必要な魔法石カード自身の獲得コストは、『ドミニオン』の財宝カードと比べると安く設定されています。したがって、欲しいカードは入手しやすく、デッキも回りやすい作りになっています。

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ドミニオン』では銀貨のコストは3、金貨のコストは6だが、本ゲームの2魔法石のコストは2、3魔法石のコストは4

 ただし、デッキをどんどん回していくだけでは勝利できません。目的はメタルドラゴンを倒すことだからです。そのためには、攻撃力の高いモンスターカードをどんどん場に出して、メタドラダンジョンに向かう必要があります。

 といってもメタドラダンジョンに行けるのは、リーダーカードを含めた5枚まで。倒すべきメタルドラゴンのHPは4人で遊んだ場合6/10/15/18で、仕組み上最低でもHP10のメタルドラゴンを倒せないとゲームは終わらないので、モンスターカードの攻撃力を平均で2までもっていくことを目指していきます。

 ですが、24種類のモンスターカードのうち15種類の攻撃力は1、そして最大3の攻撃力をもつモンスターカードはたった2種類しかありません。そこで活躍するのがリーダースキルです。リーダースキルには、特定の属性やタイプのモンスターカードの攻撃力を上げるものがあるのです。

 たとえば、"覚醒秘神・オーディン"のリーダースキルは"神タイプの攻撃力×2"、"樹天龍・ホウライ"のリーダースキルは"木属性の攻撃力+1"など。

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 リーダーは毎ラウンドの最初に入れ替えできますので、序盤はプレイ回数などを増やすリーダースキルを使用して自分のデッキを育てていき、準備が整ったら攻撃タイプのリーダースキルに変更してメタドラダンジョンの攻略を目指す、といった運用をめざすとよいでしょう。

 ちなみに、"金色の女神・パールヴァティー"のような便利なカードをリーダーにした状態でデッキが回るようにしますと、リーダーを攻撃タイプに変えたとたんにデッキが回らなくなることがままありますのでお気をつけください。

 なお、数回遊んでみた感じでは、本ゲームは終了条件がメタドラダンジョンの攻略のみですので、ある程度デッキができあがるまでは皆、メタドラダンジョンに挑まないという傾向にありました。自分好みのデッキを作るのって楽しいんですよね。

 その結果、ゲーム終了まで結構な時間がかかることに。もし本ゲームを遊んでみてこのような展開になってしまう場合は、たとえば1回のゲームで獲得できる12種類のモンスターカードのうち、3、4種類のカードが尽きたらそこでゲームを終了するなどの条件を追加すると、テンポのよいゲームになりやすいかもしれません。

●URL

パズドラデッキ構築型ゲーム 攻略!メタドラダンジョン | 株式会社メディアファクトリー

http://mediafactory.co.jp/paddeck/

(橋本 崇史)