ホテルを合併させて株で儲ける名作ボードゲーム『アクワイヤ』
今回紹介するのは、ボードゲーム『アクワイヤ』。プレイヤーは投資家となり、投資したホテルチェーンを大きくしたり合併させてたりして稼いでいく作品です。2人から6人で遊べますが、4人で遊ぶとバランスがいいでしょう。
以下、画像は旧版のものを使用
使用するボードには、各マスに1-Aから12-Iまでの番号が振られており、ホテルコマにも同じように番号が振られています。番号に従いコマをボードに置いていくわけです。
プレイヤーは、6枚のホテルコマと資金をもってスタートです。手番のプレイヤーは、まず手持ちのホテルコマを1つ選んでボードに置きます。それから、もしボード上にホテルチェーンがあり、かつ株券を購入できるのであれば、株券を3枚まで購入できます。そしてホテルコマを1枚補充すると次のプレイヤーの手番です。
8-Iのコマは8-Iのマスに置く
バラバラに離れて置かれたホテルは、まだ投資できる規模のサイズではありません。しかし、すでに置かれているホテルコマに接する形でホテルコマを置くと、ホテルチェーン（以下、チェーン）が誕生します。
チェーンを設立したプレイヤーは、どのような種類のチェーンにするかを決めてから該当するマーカーを置き、創立者利益としてそのチェーンの株券が1枚無償で手に入ります。
ホテルチェーンのマーカー
株券
設立できるホテルチェーンは7つあり、かつその中で格が3段階に分かれています。チェーンの格が高いほど、またチェーンのサイズが大きくなるほど、株券の価格は上がっていきます。つまり、チェーンに接するようにホテルコマを置いてチェーンを大きくしていきますと、株価も上がる仕組みです。
格の低いTowerチェーンの場合、ホテルの大きさが2マスだと株券1枚の値段は200ドルだが、4マスになると倍の400ドルになる。一方格の高いImperialチェーンの場合は、2マスでも株券を1枚買うのに400ドル必要
株価を上げるためにチェーンを大きくしようとホテルコマを置いていくと、いずれチェーン同士がくっつくようにホテルコマを置けるようになります。そのようにホテルコマを置きますと、チェーンの合併です。
本作で手持ちの資金を増やすチャンスは1種類しかありません。それは、チェーン同士が合併する時だけです。チェーンが合併しますと、規模が小さいホテル、つまりホテルマスの少ない側が、大きいホテルに吸収されます。なお、11マスを越えたチェーンは、吸収されなくなります。
3-Dにホテルコマをおくと、ImperialがTowerに吸収される
吸収されたチェーンは、マーカーが外されて消えてしまうのですが、その際、吸収されたチェーンの筆頭株主と次席株主に、配当が配られるのです。この貴重な収入を使用して、再び別のチェーンの株を買っていくわけです。
さらに、合併の際に持っていた株券も3通りの使い道があります。まずは、吸収された時点の価格で売り払うこと。小さいサイズの頃からこつこつ育てていたチェーンの場合は、売るとそれなりの利益が生まれるでしょう。
また、合併の時以外では株券を売ることはできませんし、資金の入手機会は少ないですので、所持している株券の枚数によっては積極的に売ってしまうのも手です。
もう一つの選択肢は、2対1の割合で吸収した側の株券と交換することです。筆頭株主もしくは次席株主になっていると合併時にボーナスが入りますので、できれば狙っていきたいものです。そのためには株券の枚数が必要になります。そして、大きなチェーンに吸収されたということは、安い株券を高い株券に変えるチャンスなのです。
ただし、株券は合計で25枚しかありませんので、ストックが尽きてしまった場合はあきらめて換金するか、そのまま持っていることになります。と書きますと、なくなったチェーンの株券なんて持っていても紙屑では？とお思いでしょうが、半分正解です。
そのままですと確かに株券は紙屑なのですが、チェーンのマーカーは再利用できるのです。つまりその後に新しいチェーンをつくって再び同じマーカーを置きますと、もとのチェーンが復活することになり、株券も再度価値を持つわけです。というわけで版面の状況によっては、同じチェーンが二度三度と復活することもあります。まさにホテル転がしです。
そうこうしているうちに、一つのチェーンのサイズが41マスを越えるか、すべてのチェーンのサイズが吸収されない大きさ、つまり11マスを越えるかした時点でゲームは終了・精算となります。
本作は、名ゲームデザイナーであるシド・サクソン氏が1962年に作成したのですが、誕生してから50年が経った今でもおもしろさが薄れることはありません。こんなに手軽で楽しく投資家の醍醐味を味わえる機会は、そうないでしょう。
ゲームとしても、ホテルコマをひくというランダム性と、状況を把握して適切なタイミングで株券を買うなどの戦略性がうまく噛みあっている傑作ですので、オススメできます。
（橋本 崇史）
