大きな数字を取らないようにカードを出していく読み合いのカードゲーム『ブクブク』

　今回紹介するのはカードゲーム『ブクブク』。大きな数字を取らないように、選んだカードを一斉に出していく読み合いの作品で、3人から5人で遊べます。

　ゲームに使用するのは、24枚の灯台カード、プレイヤーごとに12枚ずつ配られる天気カード、そして残りライフと得点を兼ねる浮き輪カードです。

　手札となるのは、1から60までのいずれかの数字が書かれている天気カード。最初に天気カードを配られた際に、カードに描かれている浮き輪の数だけ、浮き輪カードをもらって自分の前に並べます。つまり手札によってもらえる浮き輪カードの枚数が違うわけです。

天気カード

　ゲーム開始時に、灯台カードの山から2枚が表向きにめくられます。灯台カードには1から12までの数字のいずれかが書かれているので、プレイヤーはなるべく大きな数字の灯台カードを取らないよう、手札のカードを出していきます。

　プレイヤーは毎回、手札から1枚カードを選んで出していきます。一番大きなカードを出したプレイヤーが、場にめくられている灯台カードのうち、小さい数字のほうを入手して自分の前に置きます。そして二番目に大きな天気カードを出したプレイヤーは、一番大きな灯台カードを入手します。

上が場の灯台カードで、下が手札から出された天気カード。この場合、58を出したプレイヤーは6の灯台カードを受け取り、47のカードを出したプレイヤーは10の灯台カードを受け取る。15のカードを出したプレイヤーは何も受け取らない。つまり、一番大きい数字を出すつもりで二番目になると、痛い目にあうのだ

　そして皆の前に置いてある灯台カードの数字を比べて、一番大きな数字の灯台カードを置いているプレイヤーが浮き輪カードを1枚失います。その後、再び山札からめくられた灯台カードを取り合っていき、手札がなくなった時点で残った浮き輪カードの数が各プレイヤーの得点になります。なお、浮き輪カードをすべて失った状態でさらにカードを失う状態になると、その回のゲームから脱落した上で得点もマイナスになります。

この場合7の灯台カードを置いているプレイヤーが浮き輪カードを失う

　ポイントは、新しく取った灯台カードは、以前取ったカードの上に重ねておいていくことです。つまり一度低い数字を取ったとしても、別の周で出した天気カードによっては必要なかった灯台カードを引き取ってしまい、大きい数字に変わってしまう可能性があるわけです。

　また、灯台カードの数字を比べる場合は、その周でカードを受け取ったプレイヤー同士でのみ比べるのではなく、灯台カードを前に置いているすべてのプレイヤーの数字を比べる、ということも重要です。

　たとえばAの灯台カードが12、Bが6、Cが3だったとしましょう。この状態でAが5の灯台カードを取り、Cが4のカードを取りますと、Bの6が最大になるのでBが浮き輪カードを1枚失うことになるのです。

　さらに、一度にめくられる灯台カードの枚数が2枚だというのもゲームを熱くします。毎回3番目より小さい数の天気カードを出していけば、灯台カードをそもそも受け取らなくて済むのです。

　したがいまして、灯台カードを1枚も取っていない場合はなるべくカードを取らないように低めの数字を出し、1枚でもカードを取ってしまった場合は、なるべく低いカードを確保するために高めの数字を出す、という傾向になるわけです。

　以上の説明を聞きますと、最初に配られた手札によって天気カードの数字や浮き輪カードの数が違うので、運の要素が大きい不公平なゲームに感じるかもしれませんが、そうではありません。

　まず、1回手札を使いきってゲームが終了しますと、プレイヤーは自分の天気カードと浮き輪カードをすべて左のプレイヤーに渡して、新しい手札でゲームを再開します。最終的にプレイヤーの人数分だけゲームをして勝敗を決めますので、条件は同じわけです。

　また、天気カードと浮き輪カードの関係も意味があります。天気カードは大きいほど狙ったカードを取りやすく、小さいほどカードを取らなくて済む可能性が高まります。ですので、そのような使い勝手のいいカードが多いほど、もらえる浮き輪カードの枚数、つまり残りライフが少なくなる仕組みになっています。結果、バランスのとれたゲームになっているのです。

　本ゲームは、やることはシンプルですが頻繁に悩みどころがあるのが楽しい作品です。めくられる灯台カードによってどのカードで勝負するかはガラッと変わりますし、同じ場でもプレイヤーによって、低い数字のカードを取りに行くかそもそもカードを取らないようにするかなどの方針が違いますので、思わぬドラマが生まれることも多々あります。

　なお、プレイヤーの人数と同じ回数だけプレイする必要がありますので、3、4人で遊ぶとちょうどいいでしょう。

（橋本 崇史）