ラクダの上にラクダが乗っかるレースに賭けるボードゲーム『キャメル・アップ』

　今回紹介するのはボードゲーム『キャメル・アップ』。最後まで展開が読めないラクダのレースの順位を予想する作品で、2人から8人で遊べます。2014年のドイツ年間ゲーム大賞の候補に挙がった3作のうちの1つです。

　プレイヤーは数回のレグ（区間）に分けて行われるラクダレースに賭けて、大もうけを狙います。個別のレグやレース全体の展開を読んでラクダの勝敗を予想していき、ゲーム終了時にもっともエジプト・ポンドを稼いだプレイヤーの勝利です。

　本ゲームでもっとも目を引くのは"ピラミッド"です。これはダイスを振る際に使用するアイテムで、ゲーム中に重要な役割を果たします。

ピラミッドはルールブックにある説明図にしたがって組み立てよう。組み上がったピラミッドはそのままの形で箱にしまうことができる

　ピラミッドが組み上がったら、ボードを広げてピラミッドや各種タイルなどを指定の位置に置いたあと、各プレイヤーは、同じキャラクターが描かれた投票カード5枚と砂漠タイルを2枚、そして3エジプト・ポンドを受け取ったら準備完了です。

　プレイヤーが手番でできることは4種類のアクションのうちから1つだけ。ダイスを振ってラクダを移動させるか、レグ・ベットタイルを1枚取るか、レース全体の勝敗を予想するか、砂漠タイルを置くかです。

　ラクダを移動させる場合は、ピラミッドを使ってダイスを振る必要があります。ダイスはラクダの種類と同じ5色が1個ずつ用意されており、ダイスの目は1から3が2つずつ書かれています。

　詳しい方法は説明書に譲りますが、ピラミッドを使用しますと、毎回ランダムで1個だけダイスを振って取り出すことができるのです。

説明書より。5個のダイスはゲームスタート時に、すべてピラミッドの中に入れる

　ダイスを振ったらその色のラクダを、出た目の分だけボード上のマスを進めたあと、ダイスをボードに置きます。5個のダイスがすべて1回ずつ振られたら、1回のレグ（区間）のレースが終了し、そのレグの得点計算となります。得点計算後はダイスをすべてピラミッドに戻して次のレグを開始します。そして、これを繰り返してラクダがゴールラインを超えたらレース全体の得点計算になります。

　ポイントは、同じマスにいるラクダは、横に並ぶのではなく上に重なって置かれることです。そしてラクダが重なっている場合、下のラクダが移動したら一緒に上に重なっているラクダも移動します。つまり、通常は1回のレグではラクダは1度しか移動しないのですが、ラクダが複数積み重なっている場合は、2度3度と移動する可能性があるのです。

この場合ダイスが振られる順番によっては、まず下のオレンジと一緒に白と緑が移動し、そのあと上の白と緑だけが移動し、最後に緑のみが移動することもある

　また、ラクダが積み重なることは順位にも影響します。複数のラクダが重なっている場合、一番上のラクダが一番先頭のラクダと見なされるからです。

　ダイスの目は1から3しかありませんので、ラクダはよく重なりますし、重なる順番も頻繁に入れ替わりますので、最後の最後まで先の読めないスリリングなレース展開となるわけです。

　ではレースでどのように儲けていくかといいますと、レグ単位の勝敗と、レース全体の勝敗に賭けることができます。

　レグ単位の勝敗に賭ける場合は、今のレグで勝つと思うラクダと同じ色のレグ・ベットタイルを取ります。レグ・ベットタイルは各ラクダにつき3枚ずつ用意されており、最初に選んだプレイヤーは5のタイル、2番目に選んだプレイヤーは3のタイル、最後に選んだプレイヤーは2のタイルを受け取ります。

　ダイスがすべて振られてレグが終了し得点計算になったら、先頭のラクダに賭けていたプレイヤーは、レグ・ベットタイル左側に書かれた分のエジプト・ポンド、つまり5/3/2エジプト・ポンドを受け取ります。ですので早く賭けたプレイヤーほど儲けが大きいわけです。

　それなら、とにかく先に5のタイルをすべて確保してしまえばいいのではと考えるかもしれませんが、そう簡単にはいきません。タイルを確保したラクダが3位以下になってしまった場合は、1枚のタイルにつき1エジプト・ポンドを払わなければならないのです。つまり、対戦相手よりも早く1位を予想しないと大きく儲けられませんが、決断が早すぎて予想が外れてしまうと損害が出てしまうのです。

　レース全体に賭ける場合も同様ですが、もっとシビアになります。1位を予想したプレイヤーのみエジプト・ポンドを得られます。かつ、早く予想したプレイヤーほど、得られる額は大きくなるのです。ただし、賭けたラクダが2位以下になってしまった場合は1エジプト・ポンドを支払わなければなりません。

レース全体に賭ける場合は、手札にある投票カードを裏向きで投票スペースに置く。1人のプレイヤーが何枚置いてもよいが、予想が外れた投票カード1枚につき1エジプト・ポンドを払う

最下位のラクダの予想もできる

先頭のラクダがゴールしたら、投票スペースのカードをまとめて表側にして調べていけば、誰が先に予想したのかが簡単に分かる仕組み

　そしてこのレースの混乱に拍車をかけるのは砂漠タイルです。砂漠タイルは空いているマスに置くことができ、タイルが置かれたマスにラクダが止まると、タイルの面によってラクダが余計に1マス進んだり逆に1マス戻ったりするのです。

　ラクダが砂漠タイルから受ける影響は1マスにすぎませんが、そもそも1回のダイスで進めるのは最大3マスですので、タイルの影響は思った以上に大きく、ときには勝敗を大きく左右することになるのです。

　本ゲームの醍醐味は、最後の最後まで勝敗が読めないラクダレースです。1回のレグでは1度ずつしか各ラクダのダイスは振られませんので、徐々に趨勢は固まってきます。しかし結果が見えてくるころには、勝者に賭けるタイルはなくなっていますので、いかに早い段階でレース流れを読み、決断できるかが悩ましくて楽しいです。

　レース全体に賭ける場合も同様で、勝敗が決まったと思った瞬間に、あっというまに各プレイヤーから投票カードがどんどん出されてしまいます。ですので、残ったダイスの色や出る可能性のある目、場に置かれた砂漠タイルの並びなどを考慮しながら、ぎりぎりまで粘りつつ、1手番でも早く予想するという絶妙なバランスの決断を目指すことになります。

　本ゲームは、ピラミッドというアイテムやラクダ駒が重なっていくという見た目が賑やかですし、ゲーム内容もレースを予想するだけですのでわかりやすく、プレイ時間も30分と手軽に盛り上がれる作品です。レース自体は運の影響が大きいですが、勝敗を当てるには様々な条件を考慮した上での決断が必要ですので、初心者からベテランゲーマーまで楽しめるでしょう。

　なお本ゲームは、日本語版も発売予定とのことです。

●URL

追いつけ追いこせ上に乗れ『キャメルアップ』 | ホビージャパンゲームブログ（日本語ルール翻訳元ホビージャパンのページ）

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Twitter / HobbyJAPAN_GAME: と、言うわけで『キャメルアップ』夏から秋予定。 http:/ ...

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（橋本崇史）